「夢のあとに」は、歌曲集「3つの歌作品７」の第1曲。フランスの作曲家フォーレの作品です。哀愁漂う甘い旋律がお好きな方も多いのではないでしょうか。器楽で演奏される機会も多く、私はチェロでの演奏も好きなので、クラリネットで最もよく響く低音部シャルモーの音域で演奏する箇所を選び録音してみたら、バスクラみたいに響いていますね。

よく響くこの箇所を演奏してみたかったのには、もう一つ理由があります。

実は先月末に新しいクラリネットが私の相棒となりました。（ひとまずB管みの）　これまで使ってきたフェスティヴァルと同じ、フランスのメーカー、ビュッフェ・クランポンのレジェンドという機種です。クラリネット奏者の通常よりも長く四半世紀も吹き込んできた以前のフェスティヴァルは、メッキがはげている箇所や硬い木でもすり減ってきている箇所もあり、この先もまだ長く吹くことを考え新しい楽器を迎えることにしました。コロナ貧乏に加え超絶貧乏になる決断をしたわけですが、新しい楽器と良い関係性を作り充実した音楽を奏でていくには、年齢的にもこれ以上後回しにするのではなく今がよいのではと、このタイミングでの購入となりました。

ビュッフェ・クランポンの上位機種には、前の楽器を購入した時にはまだ存在していなかったもので音色と吹奏感の個性が違う3系統があります。その中から私は、これまで音色のつぼが広いフェスティヴァルで作ってきた音色を1つも捨てずに新しい要素も広げていけそうなレジェンドを選びました。と言っても、しばらく前にまず機種を決めるためにお願いし希望の3+2の5機種を試奏させて頂いた時点では、入荷待ち試奏順番待ちの状態でした。吹かせて頂いたけれど行き先が決まっているから私はまだ買えない状態。。年内無理ということもあるかなと覚悟していましたが、思ったよりも早く声を掛けて頂けました。ビュッフェ・クランポンの楽器は華のある音色が特徴ですが、レジェンド数本並べてくださった中から、華やかさは勿論、重心もあり色々なタイプの曲を演奏したい私にとってバランスが良いと思える楽器を選んできました。

管体が木で出来ているクラリネットは、使いはじめの頃には微妙な状態の変化があります。特に最初期には管体に割れが入らないようにしたいので、負担を掛けすぎないようにこれまでのフェスティヴァルとレジェンドを交代で吹いていました。コロナ禍でレッスンの際には15分おきに窓を開けて換気もするので気温差も気になり、受講生の方にもレジェンドがあるのをお話ししてあるのにフェスティヴァルを使っていました。ごめんなさい。年代も違う2機種を使用しているとキーの配置や構造の違いがありまだ若干混乱していましたが、そろそろレジェンドを私のメーン楽器として手に馴染ませていっていい頃合いかな。楽器は吹いて育てていくものでもあります。新しい相棒とどんな良い音が出せるのか対話しながら、楽器も私も幅を広げ成長し探究して行きたいと思っています。豊かな音、とおる音、深い音、軽やかな音……

コンサート企画はまだ先行き不透明ですが、良い頃合いを見つけてきっと。

まずはこの【Bonbonnière】色々試しながら増やしてみます。

シリーズコンセプトは下記の通り↓

〈インスタグラムストーリーズの基本設定は音楽にはあまりに短い15秒以内！案外それが面白いのではないかと始めたシリーズをYouTubeにも投稿しました。僅かな時間でも煌く旋律ってあるんだな、一粒の砂糖菓子を口に含むような楽しみを。〉

再生リストで続けてご視聴頂くのもお薦めです。